あおい本棚

主に本、たまに漫画や映画の感想です

『何者』 朝井リョウ

2021/07/31


何者
朝井リョウ
分類: 913

※この記事は「何者」のネタバレを含みます

映画だけ観たことがあって、原作は初めてでした。


前に映画を見た時は、就活とかについて何も知らなくて、シビアな感じはしたけど、暗いなーって程度の印象だったんですが。

就活の中身を知った今では、めちゃくちゃ刺さりました。


印象に残ったのが、光太郎が拓人に、「なんでお前が内定とれないのか本当にわからない」みたいなことを言ったところ。
拓人はまさにその場で光太郎の内定先の裏評価を調べようとしていて、光太郎に対して申し訳なさを感じます。
この状況が、すごくリアルだなって思いました。
自分の嫌なところをよく分かってるから、周りから「優しい」とか「いいやつ」とか言われると申し訳なくなって、さらに自己嫌悪に陥る…っていう流れ。


就活って、そういうのを色々痛感するイベントですよね。
その段階を踏むのが「大人になる」なのかもしれないですが。


あとは、登場人物がみんな典型的というか、いるいるそういう人!!って感じでした。
特に光太郎。ふらふらして軽そうに見えて実は一番大人。世渡り上手っていうのがぴったりきました。


就活のやり方には、新卒一括採用とか自己分析とか、昔から賛否両論あって、意味がないとか量産型とかいう意見もあると思いますが……就活している人たちにとっては、大切で重要な人生の岐路なんですよね。

いまは就活ではじめて自分のことや将来のことを考え出すっていう人が多いと思います。
でも、もっと小さい頃からそういうのをちゃんと意識できるようになっているほうがいいんじゃないかと感じました。
やっぱり最近では、周りを見ることばっかりに気を取られて成長する子が多いように思うので……自分のやりたいことや好きなものは、ちゃんと自分で言える方がいいと思います。