あおい本棚

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『四畳半タイムマシンブルース』 森見登美彦 上田誠

2021/08/09


四畳半タイムマシンブルース
森見登美彦/上田誠
分類: 913


森見登美彦さんによる『四畳半神話体系』と、上田誠さんの『サマータイムマシン・ブルース』が融合した作品。書いてるの自体は森見さんですね。
四畳半神話大系のほうしか知らなかったんですが…めちゃくちゃ面白い。
相変わらずしっちゃかめっちゃかだし、キャラがみんな濃すぎてどこからつっこんだらいいかわからなくなります。


四畳半神話大系は、京都に住む大学生「私」が、最初に入ったサークルの違いによって別の人生を歩む姿を描いた、パラレルワールドみたいな話…だったと思います。
どれかの人生では、途中でどこまで行っても四畳半しかない世界になったり、あとその名の通り暗闇の中で各自材料を持ち寄る闇鍋をして、その中になんとぬいぐるみが入っていたりしていて、あれがめちゃくちゃ衝撃的でした。

サマータイムマシンブルースは、もともと舞台脚本だそうです。映画にもなってるからそのうち見てみます。
コーラがかかったことによって壊れたクーラーのリモコンを取り戻すために、タイムマシンに乗って過去へ行くという話。


この「四畳半タイムマシンブルース」は、「四畳半神話大系」の登場人物と「サマータイムマシンブルース」のストーリーが合わさった感じです。
なんというか……びっくりするほどピッタリです。


主人公の「私」は、京都の「下鴨幽水荘」というぼろアパートに住んでいます。
「私」の部屋は唯一クーラーがある部屋なのに、コーラがこぼれたことでリモコンが壊れてしまう。原因となった「私」の悪友、小津に文句を言いながら、映画サークルの知り合いである明石さんと話しているとき、アパートの廊下にタイムマシンがあることに気づきます。

そこでアパートに住む何回生だかわからない樋口氏や、近所で歯科衛生士をする羽貫さんなども集まって、タイムマシンで昨日にいってリモコンが壊れることを阻止するという作戦を考えました。
第一弾として樋口氏や小津たちが過去に行ってしまってから、「私」と明石さんは、過去を変えることで現在が矛盾して世界が崩壊するのではないかと考え、慌てて先に行ってしまった人たちを連れ戻しに行きます。
そして過去に行って、とにかくトラブルを起こさないよう現在に戻ろうとするのですが……


ストーリー自体も面白いし、過去でトラブルを引き起こしまくる樋口氏や小津たちがほんとに面白い。もともと「神話体系」のほうでも自由奔放で傍若無人な問題児なので、キャラ的にぴったりでした。

特に、銭湯で過去の樋口氏と現在の樋口氏が会話を交わしているのを「私」がハラハラしながら見ているシーンは笑いすぎてしばらく先が読めなかったです。

「私」の明石さんへの恋心の行方や、タイムマシンをそもそも持ち込んだ謎の青年の正体にも注目です。

そういえば…どうでもいいですが、この本を読むまで四畳半は「しじょうはん」って読むんだと思ってました。「よじょうはん」なんですね。表紙のローマ字をみてびっくりでした。どうりで変換が出てこないわけだ…