あおい本棚

主に本、たまに漫画や映画の感想です

『分身』 東野圭吾

2021/06/15

分身
東野圭吾
分類: 913


読みたい本リストに入っていたもののひとつ。

この世界に、自分とまったく同じ顔のひとがもうひとりいる。それってどう言う感じなんだろう。
自分と似ている人が世界に3人はいるとかいうけど、全く同じというのはないんじゃないでしょうか…この本みたいな場合を除いて。


大学に上がったばかりの氏家鞠子は、自分の出生に疑問を抱いて父親の過去などを調べることにしました。実は数年前、彼女の母親は家に火をつけて心中を図り亡くなっていました。その母が、そして父も自分にまったく似ていないことや、ある時を境に母が自分を避け始めたことから、鞠子は疑問を募らせていたのです。
そしてその途中で、鞠子とまったく同じ顔をした女性、小林双葉の存在を知ります。
20歳で女子大生の双葉も双葉で、母親からテレビ出演を厳しく禁止されていること、そしてバンドのボーカルとしてテレビに出てまもなく、不審な事故で母親が死んだことから、自分の出生を疑い始めました。


なんというか、全体的な内容としては予測しやすいものでした。鞠子の父親が専攻している分野などから見ても、まあそういうことだよね、と言う感じではあったと思います。
だから多分、そういうミステリー要素っていうよりは、ふたりの心情とかそこに至るまでの経緯とか、周囲の人間の動きとか、そっちのほうが面白かったです。

自分の出生を調べようとしたふたりが、思いも寄らない互いの存在に気づいてしまう。そして最終的に二人はあるグループから追われることになるんですが…
正直オチのほうは微妙でした。細かいバックストーリーや登場人物についての話がちゃんと語られずに終わったっていうのもそうなんだけど…本当に最後の最後。
なんかもっといいやり方あったんじゃないかな…あれじゃ投げやりっぽいというか……個人の意見ですが。
とはいえ私にもっといいものが書けるわけでもないんですけどね。

読んでいるときはある程度面白かったですが、読み終えてみると、普通かな…って感じです。というかこういうジャンル自分に向いていないかも。