あおい本棚

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『図書室のキリギリス』 竹内真

2021/03/26

図書室のキリギリス (双葉文庫)

図書室のキリギリス (双葉文庫)

  • 作者:竹内 真
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: 文庫

図書室のキリギリス
竹内真
分類: 913 (F)

前から読んでみたいと思っていた、このシリーズ。2巻と3巻はよく見かけるのに最初のを見つけられていなかったので、ようやくです。

あらすじは、
行方不明となった夫との離婚を成立させ職を探していた詩織のもとに、学校司書の仕事が舞い込む。資格も持っていない詩織だったが「ものに染み込んだ感情や記憶を読み取る」という不思議な力をきっけとして本好きであり、志願して晴れて採用となった。詩織は、図書室で様々な生徒や教員などと関わりながら、前任の司書の行方や二校の蔵書印が押された本などの謎を解き明かしていく。

読み終えた感想としては、司書の仕事に興味を持っていると面白いところもあるんだけど、そうじゃないとちょっと物足りないかなって感じです。

私は司書という仕事に興味があり、将来やってみたいなとも思っているんですが(でもわりと違う専門に進んでますが)、この本に出てくる詩織は司書の資格こそ持っていないですが学校司書という仕事の現実的な面を色々と教えてくれますし、仕事内容も具体的です。
こういうことをするんだとか、そういう関わりが持てるんだとか、色々実際に想像できて楽しいんですが、それ以外の内容は…うーん、って感じでした。司書の面がなければ途中でリタイアしていたかもしれないです。

この本は五つの章に分かれているんですが、その章のひとつひとつで文章をちゃんとまとめすぎてるっていうか、毎回綺麗に終わらせようという文が最後の方にあって、それが少し、くどいなと思いました。最後以外でもそういうところはあって、なんというか、セリフばっかりになったからとりあえず文を入れておこうって感じがする。もちろん作者にそういう意図があったかは分かりません。

そんな感じで毎回、司書の仕事についての同じような内容が挟んであって、肝心の本来の謎の部分がちょっと霞んでる気がしました。
盛り上がりが微妙というか…例えると、ジェットコースターで一直線に上まで上がった後、ワクワクとちょっと恐怖を抱いていたら、予想に反してかなりゆるい傾斜で、しかもぐるぐる周りながら降りてく感じです。よくわかんないですね。

でも、司書という仕事に興味を持つにはいい本だと思いました。詩織が生徒とつながり、その生徒同士がつながり、本に興味を持って、そこから行動に移して…みたいな、司書は本を通していろんな架け橋になれる存在だなあと思います。
それでも現実ではより良い司書になることが難しい仕組みや制度が多い。そこを思い知らされる本でもありました。これは図書館司書以外の仕事にもたくさん言えると思いますが。
学生も大変ですが、社会人も色々ありますね、やっぱり。しかもお金なんて自分の生死に直結するし。
それでも楽しいところを忘れないようにしていきたいと、この本を読んで感じました。

とりあえず、シリーズものは全部読んでみないと。早く次を読みたいです。